今、なぜNPOなの?
従来、公益、つまり世の中の不特定多数のもののための利益は、行政が担う分野と認識されてきました。
しかし行政の原則は平等、公平です。要するにみんな同じに扱わなければなりません。
また、企業は利益が上がる見込みがないサービスを提供することは考えにくいものです。
- 行政=公平・平等な対応が求められる (みんなに同じように)
- 企業=利益追求が中心 (儲からないことはやらない)
価値観が多様化した現代社会においては行政や企業だけでは市民の様々な要求に応えきれなくなってきています。
NPOとは、こうした政府・自治体や企業では扱いにくいニーズに対応する活動を自発的に行う組織です。
機動性、迅速性に勝るNPOの活動は、個別の活動だけを見れば範囲は限られているかも知れませんが、
全体として見れば、行政の対応が難しい分野をカバーしつつ、行政とともに公益を担っていく可能性を秘めています。
活動理念や目的に賛同・共鳴する人たちが、公平さや利潤にとらわれない、きめ細かなサービスの
提供を目指すNPOが、今日的課題を解決していくうえで、今まさに必要とされているのです。
NPOとボランティア
自主的・自発的に公益活動を行うことにおいては、ボランティアもNPOも同じですが、ボランティアは個人、
NPOは組織(団体)といったイメージです。ボランティアというのは個人が自主的・主体的に行う活動であるのに対し、
NPOは目的を達成するために運営ルール(規約、定款、代表者、事務局)をもち、組織的、継続的に活動を行うものともいえます。
NPOは、ボランティアから出発して、グループを作り、目標を掲げて組織化し、法人格を取得するものや、
当初から社会的使命や目的を掲げてNPO法人を設立するもの、法人化せず任意団体のままで活動するものなど、
設立方法、活動の種類、活動形態など様々です。しかしながら「自らの自由な意思で自主的・自発的に社会に貢献する」
ボランティアの活動は、NPOにとっても組織を運営していく上で無関係ではなく、多くのNPOの役員やスタッフは
ボランティアの参加によって維持されています。
NPOはボランティア活動をしたい人たちの参加の場、活動の受け皿であり、
ボランティアはNPOを支える重要な存在であるとも言えます。
法人格とは
団体が法人格を取得すると、団体の名義で契約を結んだり財産を所有したりできるようになります。
人は生まれながらに人格が認められているので、基本的に誰でも契約を結んだり財産を所有したりできますが、
団体の場合は、法律の定めに従い一定の手続きを経たものだけに法人格が認められることになっているのです。
法人格は持っていないが、団体としての活動はしているというとき、これらは一般に任意団体と呼ばれています。
任意団体は、実態は団体かもしれませんが、法人格がないため、法律上はあくまで個人の集まりとして扱われます。
任意団体は、法人格がないので、団体名で契約したり財産を所有したりすることはできず、これらの行為は代表者などの個人名義で
対応せざるを得ません。しかし、万一問題や事故があったときには、代表者などの個人に過大な負担がかかる可能性があります。
法人格を取得すると、団体に関する法律行為を団体名義で処理することができるため、団体メンバーの個人的な負担が軽くなり、
また、団体として安定的、継続的な活動も行いやすくなります。